『レミー追悼文』 by MURAMURA-METAL


『レミー追悼文』by MURAMURA-METAL


【METAL学院11学期 2016年08月02日投稿】


レミー追悼文(1)

中学から高校と、なぜか暑苦しいメタルやロック好きに囲まれた。

「オマエなんも分かってねえからコレ聴け」とダビング・カセットを渡され、チュルルとお気に入りをリピートする80年代な日々。

最初はパープルからレインボーにキッス、メイデンやプリーストとメタルに辿りついたけど、初めてガツン!とやられたのはハマースミス・オデオンまで眠っちゃいけないモーターヘッドの「極悪ライブ」だった。

純粋なメタルでないけど、当時としては激しくスピーディーな重低音でありながら、シンプルなロック&ロール。レミーの高音弦に歪めたリッケンバッカーのベース・リフの格好よさと言ったら!Overkillとか文句なしチュルル・アワード大賞。

大音量で聴いて親に怒られ、Ace of spadesの歌詞をカタカナ(笑)で書いて登下校の道で歌った。雑誌やジャケの写真でしか知らないヒゲ面のレミーはヒーローだった。

でも高校卒業あたりで音楽から遠ざかり、たまに聴いてもメタルでなく90年代のオルタナティブ・シーンくらい。大量のカセットはCD普及で引っ越し時に捨ててしまった。

そんなメタルを四半世紀ぶりに聴いたのはBABYMETALのお陰だった。その時の衝撃と感動はだいぶ前の楽園で語り尽くしたので省略するとして、モーターヘッドとレミーとも再会できた。

ただ、90年代と00年代のアルバムを聴いても、数曲をのぞいてあまりガツン!とこない。自分が80年代で思考停止してるのか、レミーというかバンドが老いたのか。

ところが、15年の新譜「BAD MAGIC」は、冒頭のVictory or dieに続きThunder & lightningのベース・リフとかもう!これだよ、これが古くて新しいモーターヘッドだよ!アルバム後半はグダるけど、タワレコの試聴ブースでガッツポーズした。
https://www.youtube.com/watch?v=Zh_pk02IOnE

そう興奮していた年のクリスマスが過ぎたころ、レミーが死んだ。


レミー追悼文(2)

最後の来日となったフジロックに行かなかったことは、死ぬほど後悔している。

BABYMETALのライブすら行けるか危ういほど仕事が忙しかったけど、近年のレミーが健康を著しく害していたのは知っていたのに。LAからの葬儀中継を茫然と眺めても実感はわかない。なんとも区切りがつかない。

ところが、年明けに渋谷HUMAXで「極悪レミー」の追悼再上映があるという!(公開は2010年) 平日夜に無理して仕事を抜けだした。小走りに渋谷の交差点を通りぬけ、ネクタイを外す。レミーへの当然の礼儀だ。

建物のエレベーターを降りてロビーに行くと、あれまあ。どこに居たんだっていう別世界。メタラーな人、パンクな人、グルーピーなお姉ちゃん、ジャック・ダニエルを握りしめる人、自分と同じくスーツ姿で気恥ずかしそうなオッサンたち。

映画のパンフは前日に在庫切れ。これはとても残念だったけど、ロビーにはレミー肖像パネルの寄せ書きがあった。すでに思い思いの書き込みで一杯だったけど、ハジっこに「Thank you, Lemmy!」と書いた。この寄せ書きは、運営側に送られる予定という。

劇場に入ると、サラウンド・スピーカーがビシッと天井に連なっている。爆音とまでいかないが、通常の映画に比べれば満足いく音響だった。これもレミー愛だよ!と感じつつ周りを見ると、平日夜でも200人のキャパで7~8割の入り。

隣に陣取るのは、レミー愛が深そうなお兄ちゃんお姉ちゃんたち。神妙さとニコニコが入りまじった顔で、上映が待ちきれなさそう。軽く会釈してから座り、CMを眺めながらイスと音響の感触を確かめる。中高生時代のようにドキドキしてしまう。

・・・はじまった!


レミー追悼文(3)

映画の前半は、レミーの音楽遍歴を通じた貴重なロック史と思う。

じつは「極悪レミー」は、数年前、衛星放送でたまたま観かけていた。でも仕事で疲れ切っていたし、表面的なことだけしか気づかなかった。でも今回は、少しだけ視野が広がっていた気がした。

レミーは、ショップでビートルズのモノボックスが在庫切れで落胆し、でもファンである店長の私品を譲ってもらい無邪気に喜ぶ。続けてカントリーやブルースの素晴らしさを語り、ロカビリー・バンドとのライブ・セッションでリスペクトを絶やさない。

D・グロールとのスタジオ・セッションでは、ロックのルーツ談義。E・プレスリー、C・ベリー、L・リチャードがいかに偉大であったか、2人の話は尽きない。ただしストーンズは、高級ホテルに泊まっているだけのヤツらとか(笑)。

1945年生まれのレミーは、50年代のロック&ロールの勃興を、60年代はビートルズの台頭を目の当たりにした、ロック史そのものの世代だ。よくモーターヘッドは、メタルとパンクの両方からリスペクトされる珍しい存在と言われる。

自分もそれが誇らしかったけど(←なぜオマエが?)、それだけでは単純な見方だった。メタルもパンクも、レミーに言わせりゃ「元はと言えばロックだろ」。そのロックのルーツも、じつに多種多様。なので、ジャンルの垣根が無意味と分かってる。

そのレミーは、ジミヘンのローディ&ヤク調達係を経てホークウィンドに加入。代表曲Silver machineの場面では、サイケデリックはメタルの源流の一つと言われる意味がよく分かる。ステイシアのオッ〇イはさておき、レミー若い!
https://www.youtube.com/watch?v=yao_T2adl14

数年前から変わったこと。BABYMETALに出会って頭が柔軟になったこと。そして。楽園や学院で、なぜか暑苦しいメタルやロック好きに囲まれたこと。これらの出会いがなければ、こうした見方はできなかった。


レミー追悼文(4)

映画の後半は、周囲のレミー評がさらに興味深い。

ヤク絡みでツアー中に解雇されたレミー。腹いせにホークウィンドから倉庫の機材とMOTORHEADという曲を頂戴し、その名前のバンドを1975年に結成。“ファスト”クラークとレミーの1ヵ月前に逝去した“アニマル”テイラーとの場面が一番ウルウル。

そこから現在の地位が築かれ、様々なリスペクトが語られる。オジーは「メタルの元祖はモーターヘッド」と言い切り、スラッシュ、M・ジョーンズ、D・ナヴァロ、S・イアンなど支持は幅広い。

特にメタリカは、いかにレミーに憧れたかを語る。ライブに招いてのDamage caseはハイライトの一つ。メタリカもカバーしてきた、冒頭でも使われる映画のテーマ曲だ。
https://www.youtube.com/watch?v=q3sR7X2F4MY

個人的には映画よりこちらのファンダムがお気に入り。リスペクトが画面から痛いほど伝わる。「メタルの神、レミー・キルミスター!」の紹介と登場に、臨場感ある撮影者の「オーマイガッ!」からレミー・コール! 

「このヨレヨレな親父を労わってくれや」。意訳だけど、なんともレミーの個性が伝わる。そう、周囲がリスペクトし憧れるのが、レミーの強烈な個性や醸しだされるオリジナルな世界観。みんなそれぞれ、「レミーのようになりたい」としきりに言う。

一般人からしたらメタリカも個性の塊。でも実生活では教育パパだったりするジェームズと、生涯独身で母親不詳の息子ポールと乱〇プレイして、ジャック&コークなライフを送るレミーとは違う。いや、些末なネタはどうでもいい。

最高な曲?超絶な演奏?メッセージ性?どれも重要。でも数十年ブレないオリジナルな個性や世界観はマネできない。これこそレミーがリスペクトや憧れを集める究極的な理由。

賛否両論ありながら業界でオリジナル性を高く評価されるBABYMETALと照らし合わせ、そのように思った。


レミー追悼文(5)

後半は、モーターヘッドのクルーも多く登場する。

インタビュー中に流れるのは(We are)The road crewで、「極悪ライブ」でも大好きな疾走感あふれる曲!レミーがツアーを一緒に回るクルーたちに向け作られた。クルーだけに初披露した時は、みんなむせび泣いたんだとか。
https://www.youtube.com/watch?v=PUPoZEIU5VI

タフで心優しい漢だレミー!ツアー中に疲労困憊になって険悪となり、そこで解散したりクルーが消えることはよくある。でもここでは、バンドとクルーはみんな喜びと自信に満ちていて固い絆が伺える。

チームBABYMETALもワールドツアーは過酷だと思う。どんな絆で乗り越えてるのかなと考えてしまう。ゆいちゃん寝起き悪いし(笑)。ちなみに神バンドのツイッターによれば、レミー逝去後にそのクルーの1人が今回のBABYMETAL海外ツアーに加わってたとか。

さて、Overkillのライブ場面で映画は佳境に。

もちろん口上は、“We are Motorhead and we play Rock N Roll!” ロック「&ロール」ってとこが重要!ふと隣の集団を見ると、ノリノリでジャック・ダニエルを回し飲み(笑)。こちらも繰り返されるツーバスのイントロに軽くヘドバンしてると、エンディング・ロールが入るニクい演出。

F・キャンベルとM・ディーとのプレイはじつに息が合っている。80年代世代にはなじみの薄いトリオだけど、もっと早くから見てみたかった。リッケンバッカー・マシンガンから3人がステージを去る場面はしびれるほどカッコいい。

終わった。

数秒の間をおき、どこからか大きな、本当に大きな拍手と感謝の口笛が場内から沸きおこる。「レミーありがとう」の声も聞こえる。みんなレミーに青春をもらってきたんだな。席を立つとき、隣の兄ちゃんと目が合って笑いあった。

さて、仕事や家庭に戻ろう。


レミー追悼文(6)

相変わらず仕事が忙しい日々が続き、音楽はたまに聴く程度だった。

そのうちにBABYMETALのワールドツアー2016がはじまった。もちろんチェックしていたけど、やはり片手間。ただし娘との約束で、さくら学院のLoGiRLだけは毎週観ていました。すんません、月曜夜だけは早く帰れるんです m(__)m

APアワードでロブとコラボするニュースには、特にメタラー経由のメイトが沸きかえっていたけど、そこまでの思い入れがどうしても出てこない。

いや、実際のところ素晴らしく胸熱なステージになったけど、みんなハシャいでていいなー。モーターヘッドなんて、レミーが死んだ直後に解散宣言だったのに。まあ強烈な個性がありすぎて、レミーなくして成り立たないか。

ところが、心が奪われるニュースがきた。BABYMETALが立つダウンロードUKのメインステージの2つ後にレミー追悼ステージだとか!プリーストファンの気持ちが急に分かる、この身勝手さ(笑)。

BABYMETAL公式が、これから「LEMMY STAGE」でプレイするとツイートした時は泣くかと思った。青春時代のモーターヘッドと現在のBABYMETALが、時代をこえて、音楽を通じて、つながるだなんて。

当日の深夜は、ペリスコにかぶりついた。BABYMETALのステージは震えるほど素晴らしくて、中継してくれたケビンはメイトに神あつかい。けど、「オレ別にファンじゃねえし。メインステージを中継してるだけ」とかリプしてて思わず吹いた。

でもありがとう、ケビン。追悼ステージの一部も中継してくれて。
https://www.periscope.tv/KJS_Brainstorm/1YqKDlZMQzOKV


レミー追悼文(7)

追悼ステージは、OverkillやMetropolisとかのライブ映像に、「極悪レミー」のインタビュー映像を織り交ぜる構成。D・グロールの登場でひときわ大きな歓声。生演奏とかゲスト企画とかないのかなと思っていたら、こんなんやってた。
https://www.youtube.com/watch?v=pHfdn6iIdW0

WWEの“THE GAME”トリプルHがレミー・スピリット賞を授賞していて、そのセレモニーがメガデスのステージで行われていた。大佐の紹介でトリプルHが熱い追悼演説とか豪華すぎる。

メイトたちはBABYMETALが受賞を逃して興味なくなったろうけど、メタルハマーのGolden Gods Awardsの一環だという。そのGolden Gods Awardsの本番では、F・キャンベルとM・ディー、そして盟友だったサクソンと3曲ほどの追悼ステージがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=npBKKG2WJnY

葬儀はLAだったので、これがイギリスで行われた意味は大きかったらしい。キャンベルとディーはレミー逝去後の初共演だったので、余計にグッとくるものがある。そしてそして、この会場はハマースミス・アポロ(旧オデオン)!眠れない。

この他、グラストンベリーやTMさんもリンクしてくれたヘルフェストでも追悼の企画が行なわれていた。日本でも、大々的に先人をリスペクトするこういう文化がもっと育ってくれればと思う。


レミー追悼文(8・終)

ようやく、青春時代を捧げたレミーの死に実感がわいた。

これを文章化して、完全に区切りをつけたい。完全に自己満足で申し訳ないことだけど、暑苦しいメタルやロック好きが集まる学院に投稿させてもらおうと思った。

ここで学ばせてもらって、今まで気づかなかった視野を広げてもらって、モーターヘッドとBABYMETALがつながったから。それで、レミー追悼にも、区切りをつけられたので。

これまで浅くて長い駄文をダラダラ連投してすいません。
m(__)m

もういい加減、これで失礼します。また忘れたころにお邪魔させてください。今回は1年ぶりだったんで、また1年後とか。

これからどうしよう。80年代までの初期アルバムを聴き直すか、90年代以降の新しいアルバムを聴き始めるか。仕事が忙しすぎるので、慌てずノンビリ考えていこう。とりあえず、海外取り寄せでモーターヘッドのリストバンドを衝動買いしてしまった。

今年の唯一の参戦になりそうな東京ドーム。これまでのBABYMETALのリストバンドは娘につけさせて、自分はモーターヘッドのリストバンドをつけていく予定だ。

親子で誰かに見せびらかしたいから、会場周辺で、暑苦しいのに温かかすぎたり優しすぎたりするメタラーでも探そかな。見つからなかったら、また1年後まで待つので。

(終)


今後BABYMETALが出場するフェスのセットリストについて語り合おう!
『Astarta 記事:翻訳』 BABYMETAL、サンフランシスコのビデオ